すべての始まりはワンコ
ー札幌市 Iさんー

夫婦そろって、アウトドア派ではなかった。テントの設営なども経験が無く、すでに成人した3人の子供達とも、バンガロー泊のキャンプがせいぜいだった。
そんな我々が、一昨年、突如、キャンピングカーとカヌーを購入。
何故か?!
すべては、巣立った3人の子供達の後釜として我が家にやってきた、毛深い子供達のためである。

親を青くしたり赤くしたりした人間の子とは違い、ただただ愛情を求め与えてくれる、純真でいじらしい毛深い我が子。そんな可愛い子供達を置いて、どうして、旅になど出られよう。


虫嫌いな我々が、ワンコと一緒に旅をしたいがために、初めてテントを購入した。車中泊というものもやってみた。しかし、どうも、塩梅が悪い。そこで、我が家のランドクルーザーをいかにして快適に改造するべきかを考え、ヒントを得るためにキャンピングカーフェスティバルを見学に行ったのである。入場料一人1000円は高いな〜、と思いながら・・・。

犬

そこで、購入する気などさらさら無い我々を誘惑すべく待ち構えていたのは、ATOM307R。我が家の車庫にもギリギリ収まりそうな小さめのサイズでありながら機能的な設備、そして何より、頑張れば買えそうな、キャンピングカーとしては手ごろな価格が、いたいけな我々を攻め続ける。キャンピングカー界において実にニクいポジションに位置し、庶民を惑わせる悪い奴ATOM307R。
「いやいや!ここで負けてはいけない!」
夫婦で踵を返し、レストランで昼食をとる。しかし、まんまと敵の術中にはまった我々の心は千路に乱れ、食事の味などわからない。
入場料一人1000円は高いな〜、と思いながら、結局、翌日もATOM307Rに会いに行く。

こうして、我々夫婦は、動く3畳間を手に入れた。居間兼寝室兼食堂兼カフェ兼犬小屋という、まことに便利な3畳間である。道の駅をのぞきながら新鮮な食材を仕入れ、キッチンで調理し、居間で食す。美味しそうなケーキ屋さんを発見したら、購入し、景色の良い所に行ってコーヒーを沸かし、優雅なひと時を過ごす。ショッピングを楽しみたい時には、ドアの鍵や窓やカーテンを閉めたまま換気。頼もしい犬小屋は、可愛い我が子が誘拐される心配もなく安心だ。夕方、湯に浸かりたくなったら居間を銭湯まで引っ張って行き、カラスの行水専門の夫を気にかけることなく、のんびりと入浴。その後はキャンプ場でお酒を飲みつつゆっくりと夕飯。これを天国と呼ばずして、なんと呼ぼう。
居間にはオーディオとテレビ、ビデオが完備。そうそう続かない夫婦の会話をホローするアイテムが揃えられるのも、キャンピングカーの良い所だ。

食事

キャンピングカーでまわる旅は、景色と空気の良いところが多い。溢れる緑の中をのんびり愛犬と散歩するのは、何とも良い気分である。アウトドアの魅力に触れ、世界が、また、少しずつ広がる。
「キャンピングカーを持っている人って、カヌーやる人が多いよね。」
友人の言葉に即座に反応。愛犬とカヌーを楽しんでいる知人から、その魅力を聞かされていたせいもある。我が子と共通の楽しみを持てるとあらば、これは飛びつかないわけにいかない。キャンピンカーの購入によって金銭感覚の麻痺した我々は、すぐさまカヌーも購入。人生は短い。欲しいものは早く買って、長く楽しむというのが、我々の主義である。節約は、その後、と思っていたが、P泊嫌いの夫のせいで、キャンプ場代が結構かさむのが想定外だった。

カヌー

ちょっと無理して飼ったヨークシャテリアと娘から譲り受けたパグ+トイプードル。この2匹のために、こんなに散財することになるとは夢にも思わなかった。
しかし、愛犬が教えてくれた世界は、何ものにも代えがたく素晴らしい。真冬の公園を散歩しながら、次は、歩くスキーか?それともスノーシューか?などと、いい年をして新たな楽しみに夢を膨らませている。ひょっとして、私達って、アウトドア派だったのかな〜?